第2章【再生】第3話


置いてきてしまったものは置いてきてしまったで仕方ない。今から家に取りに帰るわけにもいかない。
今は目の前のこのパチンコ台に全神経を集中させなくてはならない。

しかしなんの演出も起こらない。リツコが「状況は?」と言うか、リツコを飛ばしても、ミサトさんが「目標を確認して」というところまでしかいかない。リーチになっても明らかに熱くないリーチにしかならなくて、もう死にたいと思っていたら既に7000円使ってしまった。残り18000円。いけるのか?積めるのか?勝てるのか?



すると、隣の女の台がいきなりのリラックス出現!リツコ、飛ばしたー!ミサト、飛ばしたー!綾波、いくか、止まるか?飛ばしたー!アスカ「あんたバカァ〜?」止まるか?きたロング!「ホントにバカね」左右同時停止。「エヴァンゲリオン発進」きた!新ユニゾンリーチ!アスカか?綾波だ!アツー!シンジの武器はパレットライフル。もうこれ当たっただろ。悔しい、悔しいが、この娘で良かった。男とかだったらぶん殴ってやったかもしんねえな。





まじかよ。外れやがった。女がこっちを見る。しまった。今の声に出ちゃってたか?最近自分が声を出して喋ってんだか、脳内で反芻してるだけなのか今いち判断が付かない。商店街のあいつら、俺様のことを変な目で見やがって。全員ぶん殴ってやる。そうだ、パチンコなんてやめて商店街壊しにいこうぜ、ブラザー。ハンマーはないけどシャベルくらいどっかに落ちてんだろ。手始めにあの魚屋からだ。あのハゲ、殺してやる。


「今のって熱かったんですか?」
まじ?俺?俺でいいのか?この道は茨の道だぜ!険しいぜ!いいのか?俺と一緒に歩いてくれるのか?

「いやー、今のは熱かったね!あれで外れちゃあちょっとショックだよね。俺ならやめちゃうかもしんないなー」
「ほんとですか?じゃあこの台やめます」
ちょっと待て待て、今の嘘だから。完全な嘘だから。頭を絞れ。打たせろ。
「普通ならね。ただ、回転数見てみなよ。120回転でしょ。120回転でリラックスくると50回転以内に当たる可能性が高いらしいよ。ラッキーだね」
「そうなんですかー?よかった。いろいろご存知なんですね。」

ほんとにいいのか?この道は険しいぞ。茨の道だぞ。付いて来てくれるのか?「俺んとこ こないか?」チャッチャッチャッチャチャチャチャチャチャ!アフー!チャッチャッチャッチャチャァーーーー!ァアフー!ワンナーイトカーニバル胸の奥ー Zuki-Zukiと音たてる エンジェル!!

「まあ分からないことがあったらなんでも聞いてよ。こういうのもなんかの縁だと俺思うしー」

やべえな。マジで今日は負ける気がしねえ。幸運のエンジェルが俺に微笑みやがった。アフー!